小屋 花恵

看護学校卒業後、山形市内の病院に入職しましたが、家庭の事情で地元である新庄市に戻ることになりました。転職を検討していた際に、外科がある当院で働きたいと思い入職を決意しました。現在は、外科と内科、歯科口腔外科の混合病棟で働いていますが、手術を通して患者さんが元気になって退院されていく姿を見ることにやりがいを感じます。今の自分にとっては、目に見えて快方に向かう患者さんの姿がモチベーションになっていますね。

私がいる病棟では消化器の手術をする患者さんを看ることが多く、以前、胃がんで胃を切除し、吐き気が強く食事をあまり取られなくなってしまった患者さんがいました。通常、手術で悪いところを摘出したからといってすぐに食べられるようになるわけではなく、離床して痛みを抑えながら歩けるようになり、少しずつ良くなっていきます。しかし、食事は生きがいのひとつだと言う方が多く、食べられない状態はつらいものです。そんな痛みや苦しみがある患者さんに「これから食事が取れるようになるよ」と声をかけ、胃に負担のない食事から始めて徐々に回復していく姿を見るのは、私にとっても喜びでした。退院後の食事をどのようにしたらいいか、栄養士と一緒に患者さんの好みに合わせて考えたりもしましたね。無事に退院された後、外来でお会いし、手術が終わったときのことなどを話す機会がありました。「苦しかったけど、今は食べられるようになった。手術して本当によかった」という言葉が聞けたときは、私も心から嬉しく思いました。

いつも心がけているのは、患者さんがどうしたいか、どういうことを思っているか。患者さんにできるだけ寄り添った看護ができるように心がけています。当院は急性期から慢性期まで幅広い患者さんを受け入れていますが、慢性期の患者さんは高齢の場合が多く、ご本人とご家族の気持ちが異なる場合があります。例えば、患者さんはできるだけ現状の生活を維持したい、ご家族は心配なのでしっかり治療に専念してほしい、といった場合です。お互いが納得できる方法を一緒に考えていく過程には迷いもあり大変ですが、「病気を看るのではなく、患者さん全体を看る」ことを大切に、取り組んでいくことが課題だと思っています。一人ひとり、性格も人生も違う患者さんと関わりながら「これから」を一緒に考えていく看護師でありたいです。

業務風景